Modern Therapy 新生児脳障害の初期管理
総論—日常の管理の実際
松村 忠樹
1
,
杉本 健郎
1
Tadaki Matsumura
1
,
Tateo Sugimoto
1
1関西医科大学小児科学教室
pp.661-665
発行日 1980年9月10日
Published Date 1980/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206305
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新生児医療は,この10年間に分娩監視装置,経皮的酸素モニターあるいはCTスキャンなどの登場によって大きく変貌した。NICUに配備される機器類も,新生児学の進歩につれて複雑多様化してきたが,そのために従来は救命し得なかった重症例も生存し得るようになった。いま新生児学の領域で最も大きな難関は脳障害の治療である。"intact survival"を目標としながらも,現実には新生児期の器質的脳障害は多くの場合何らかの後遺症をのこすことは避けられない。筆者らは,新生児脳障害はできるだけ予防に重点をおくべき疾患であって,一たん発症した場合には治療や管理の効果には限度があるということをまず強調しておきたい。
筆者は,10年前に文部省総合研究「新生児脳障害の原因と病態」1)をお世話させていただいたが,その際の協力研究として,まず原因について調査しようということになり,得られた結果が表1であった。これらの疾患をみると,現在われわれがNICUで取り扱っている脳障害新生児のそれとまったく変わっていない。
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