指標
酵素的サイクリングによる超微量分析法の産婦人科領域における応用
堤 治
1
,
佐藤 和雄
1
,
坂元 正一
1
,
加藤 尚彦
2
Osamu Tsutsumi
1
,
Takahiko Kato
2
1東京大学医学部産科婦人科学教室
2東京大学医学部脳研究所
pp.653-659
発行日 1980年9月10日
Published Date 1980/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206304
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近年,電子顕微鏡の利用により産科婦人科領域においても,卵胞成熟,絨毛増殖,胎児発育過程などに対する形態学的アプローチはめざましい進歩を示しており,細胞内構造あるいはその変化までが研究の対象となっている。卵胞成熟過程を例にとれば,卵自体の大きさの増大,顆粒膜細胞の著しい形態変化などは,内分泌学的活動のドラマチックな変化を反映していると考えられる。
これらの変化は,当然細胞内の物質代謝に裏打ちされており,卵細胞や顆粒膜細胞を生化学的に分析することにより,各細胞の特質や内分泌活動に結びついた細胞の性質の変動を明らかにできると期待される。しかし,卵や顆粒膜細胞の集団を組織レベルで分析したのでは,各細胞の特徴を明確に知ることは不可能であり,各細胞を単離してその分析を行なう必要がある。ところが卵そのものをみても,一般の哺乳動物で直径が10〜60μ,ヒト成熟卵でもせいぜい120μであり,重さも10−7〜10−9gすなわちng単位と微量試料であるため,細胞レベルでの分析には微量分析法が必要となるが,現在のところ有効な分析法が利用できなかったため,ほとんど有用な知見は得られていない。
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