Modern Therapy リプロダクション・エイジ--その発来と晩期をめぐって
具体的治療のポイント
思春期・更年期の卵巣腫瘍の取扱い
吉田 吉信
1
Yoshinobu Yoshida
1
1滋賀医科大学医学部産科学婦人科学教室
pp.621-623
発行日 1980年8月10日
Published Date 1980/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206296
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卵巣腫瘍の的確な治療を遂行するためにはまず診断を確立することが大切であり,しかも,術前にその腫瘍の性格について十分な予想を立てておかねばならない。少なくとも腫瘍の良性・悪性の予想は立てておくべきである。悪性卵巣腫瘍にあっては隣接臓器への連続性浸潤や血行性・リンパ行性の転移よりも腫瘍被膜の穿破による腹腔内播種が予後を支配するもっとも重要な因子であるので,軽々しく被膜を破るような手術操作は控えるべきである。すでに穿破しているものにあっては性器の全剔はもちろん,転移巣の剔除,大網切除,抗癌剤の腹腔内撒布を行なっておくべきである。さらに早急な病理組織診断の上に立った術後の治療対策の確立を急ぐことが望まれる。
卵巣腫瘍にはその特徴として,好発年齢の明確に分かれているものが多く,術前診断と予後の推定には,まずこの特徴を知っておくべきである。以下この観点から的確な診断ということに重点をおいた思春期および更年期卵巣腫瘍の取扱いについて述べる。
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