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これまでに多くの性分化異常の分類が提唱されてきた。古くは,性腺の組織学的所見をもとに分類された。すなわち,一個体に精巣と卵巣とを同時に有するものを真性半陰陽とし,これ以外の性分化異常を(仮性)半陰陽とした。そのうち,精巣を持ち,性器に女性化が見られるのを男性(仮性)半陰陽,卵巣をもち性器に男性化が認められるのを女性(仮性)半陰陽とした。この分類では,性腺形成不全を伴う性分化異常は,性腺の組織学的判定ができないので分類上の位置づけが困難であった。しかし,その後,染色体分析の導入により,性腺形成不全の大部分はTurner症候群,Klinefelter症候群などの性染色体異常であることが明らかになった。またさらに,内分泌学的およびその他各種の性管分化の研究により,しだいに性分化のメカニズムが詳細に解明されてきたため,性分化異常の分類もその反映として一層合理的な,理解しやすいものになってきた。最近の分類の1例として,GrumbachとVan Wykによるものを表1に示す1)。この分類では,性分化異常をまず性腺分化異常,女性(仮性)半陰陽,男性(仮性)半陰陽および未分類の四つの項目に大別する。第1の性腺分化異常の項目は,Klinefelter症候群,Turner症候群のような性染色体異常によるものを中心とし,その他真性半陰陽など性腺分化異常を示す疾患を必ずしも原因と関係なしに羅列している。それは性腺分化の研究が極めて困難で,性管分化異常のような原因的分析がなされ得ないためと思われる。また分類項目の第4に,未分類として各種の異常を一括してあるが,これもそれぞれ原因によって今後適切な位置が与えられるべきものである。
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