症例
子宮頸管ならびに腟に発生したclear cell carcinomaの2例
遠武 孝育
1
,
大川 清
1
,
小池 清彦
1
,
佐々木 英昭
1
,
天崎 博文
1
,
福島 和夫
1
,
久慈 直志
1
Takayasu Tohtake
1
1東京慈恵会医科大学産婦人科学教室
pp.565-568
発行日 1980年7月10日
Published Date 1980/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206287
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子宮頸部および腟のclear cell carcinoma (いわゆるmesonephroid carcinoma)は比較的まれな悪性腫瘍であるとともに,その組織発生についても,卵巣のclear cell carcinomaと同様興味のあるところであり,現在に至るまで幾多の議論がなされている。また,本腫瘍の発生原因の一つとして,胎生期に主に流産防止の目的で母体を通してsynthetic nonsteroidal estrogen,とくにdiethylstil—bestrolに接する機会を既往として持った若年女性と,本疾患との関係がHerbstら1)によって明らかにされた。しかし,それらestrogen剤暴露の既往のない若年女性にも本腫瘍は発生することも報告2)されている。
われわれは,ともにestrogen剤暴露の既往のない例の子宮頸部または腟clear cell carcinomaを経験したので報告し,その組織発生についても考察を加えた。
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