原著
Prostaglandin合成阻害剤の切迫早産に対する効果
安水 洸彦
1
,
佐藤 和雄
1
,
木下 勝之
1
,
坂元 正一
1
Mitsuhiko Yasumizu
1
1東京大学医学部産科婦人科学教室
pp.483-487
発行日 1980年6月10日
Published Date 1980/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206270
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早産未熟児の出生防止は周産期医学の重要な課題の一つである。現在,早産の病態生理についてはほとんど解明されておらず,分娩発来と類似の機構の存在が推測されるのみで,全く未知の分野となっている。しかし日常臨床では子宮収縮抑制を目的とする種々の対症療法が早産治療として行なわれている。この目的のためにethanol,黄体ホルモン剤,β—mimetic drugsなどが使用され,それぞれの効果についての成績が発表されてきたが,満足すべき効果はみられていない。
近年,生殖生理とprostaglandins (PG)の関係について研究が進むにつれて,強力な妊娠子宮収縮作用をもつPGが,分娩時においても生理的子宮収縮物質としての役割を演じていることが明らかにされてきた。さらにPG合成阻害剤をrat1),rhesus monkey2)に投与し,分娩遅延を起こしうることが報告され,その成績に基づきヒトの切迫早産の治療に使用可能かどうか検討されるようになった3〜6)。今回,われわれもPG合成阻害剤を切迫早産例に使用し,その子宮収縮抑制効果を検討した。
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