特集 人工妊娠中絶術
Prostaglandin応用の現状と将来
坂元 正一
1
,
木下 勝之
1
Shoichi Sakamoto
1
1東京大学医学部産科婦人科学教室
pp.509-515
発行日 1971年6月10日
Published Date 1971/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204418
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
Prostaglandin(以下PGと略す)は,今から35年前に人の精液中に含まれていることが初めて発見されて以来,平滑筋を刺激し血圧下降をきたす作用ゆえに,広範に研究されてきた。
現在ではPGは,炭素数20の不飽和脂酸であり,精液中のみならず哺乳動物のさまざまな臓器に含まれており,しかも,その特異な広範囲にわたる生理作用ゆえに,新しいホルモンという考えがひろまり,注目をあつめている1)。1968年,ウガンダ,マケレレ大学のKarimは,PGE2, F2αの著明な子宮収縮作用と黄体機能抑制作用に注目し,初めてPGの臨床応用を試みた。Karimは,分娩誘発4)5)および人工妊娠中絶6)に使用しただけでなく,予定月経が数日遅れている婦人に使用し,月経を発来させることに成功した。
Copyright © 1971, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.