実地臨床手技のエッセンス 症状よりみた検査法の選択
腰痛
佐竹 実
1
,
明石 英史
1
,
佐藤 卓廣
1
Minoru Satake
1
1札幌医科大学産婦人科学講座
pp.929-932
発行日 1979年12月10日
Published Date 1979/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206148
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腰痛を主訴もしくは愁訴とする婦人の診療にあたっては,その原因病態の多様性から,まず原因の探究と症状による検査法の採択が治療上重要と考えられる。婦人における腰痛発症は数%の頻度にみられるが,性器の局所解剖学的特異性(神経支配,血管分布,子宮支帯),生殖内分泌学的変動(妊娠,分娩,閉経),神経生理学的・精神心理学的・社会的要因の関与(精神的ストレス,就労の増加)などから男性と比較して多く,若年から中高年層にかけて広くみられる1〜6)。
腰痛は産婦人科疾患のみから起因するわけではなく,整形外科・外科・泌尿器科・内科・神経精神科疾患による腰痛発症に留意することが必要であり,これら素因のほかに外因としての労働による腰椎に対する力学的負荷を考慮する7)ことが大切である。このように腰痛の原因は複雑多岐にわたり,必ずしも鑑別診断は容易でないこともあるが,細密に多角的に診断的検査を進めることにより原因病態が明らかになると考えられ,以下に主として産婦人科診療での腰痛診断上留意すべき諸点について述べてみたい。
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