疾患の病態と治療 感染症--最近の動き
手術と感染
佐竹 実
1
,
光部 啓一
1
,
田中 昭一
1
,
野田 健
1
,
清水 泰裕
1
,
岡和田 昌弘
1
Minoru Satake
1
1札幌医科大学産婦人科学教室
pp.141-144
発行日 1976年2月10日
Published Date 1976/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205370
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産婦人科手術の安全性は手術手技の改良はもちろん,手術室内無菌管理の徹底,病原微生物の疫学的,臨床的研究の発展,手術前後や麻酔時の管理技術の向上,抗菌化学療法の普及,輸血輸液療法および術前後の診断技術法の導入などにより確立されている。これら要因により複雑,長時間の手術あるいは再手術,さらには乳幼児,老人に対する手術適応の範囲が拡大されるようになつてきた1,2)。また,一方では手術に際して行なわれる診断・治療操作の積極性,複雑化などの誘因は,術後感染症成立に重要な関連を示すものといえる3)。
抗生物質療法による感性菌の減少あるいは消失により,術後感染症の予防と治療は容易になり手術学の進歩に多大の貢献をしてきたが,反面,耐性菌の残存(ブドウ球菌)や菌交代現象,種々の宿主条件により増加する弱毒菌感染(グラム陰性桿菌),opportunistic infection4,5),真菌,ウイルスなどによる感染が注目され,起炎菌や薬剤耐性の変貌がみられ術後感染症の病像は複雑化してきている6)。
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