巻頭言
たかが腰痛,されど腰痛
和田 恵美子
1
1近森リハビリテーション病院リハビリテーション科
pp.657
発行日 2025年7月10日
Published Date 2025/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220530070657
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4年前の春,高校生の息子が「膝と腰が痛い」と言って突然動かなくなった.慌てて撮ったX線では特に所見がなく,鎮痛薬を飲むと「胃が痛い」と言って食事を食べなくなった.湿布を貼れば肌がかぶれた.特に運動もしていない息子の腰椎MRI画像には立派な椎間板ヘルニアがあった.起きると痛みが出るので寝るしかなく,学校はオンライン対応をしてくれたのでベッド上で授業を受けることになった.プレガバリンは眠気が,トラマドールは気分不快が出現,最後の頼みのモルヒネは便秘になった.困っている間に体重が12kg減った.
夏に神経ブロックをして,秋に内視鏡手術を行った.普段診察している腰痛は鎮痛薬を内服するか手術をすれば痛みがコントロールできて,その後は姿勢と運動指導で動けるようになるものなのに,手術後の息子は膝の痛みはよくなったが腰の痛みが強く残った.股関節の屈曲はほとんどできず,少し座ると「腰が痛い」と言って真っ青な顔で寝込んでしまう.そのうちに咳が出始めて,頭痛や倦怠感,腹痛が出現して,肝機能まで悪くなった.
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