年間テーマ--診断から治療へ 術後の機能異常
術後の性機能異常
佐竹 実
1
,
田中 昭一
1
Minoru Satake
1
,
Shoichi Tanaka
1
1札幌医科大学産婦人科学教室
pp.833-838
発行日 1975年11月10日
Published Date 1975/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205253
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近時,疾患病態の診断法における進歩,悪性腫瘍に関する知識の普及および手術時の麻酔,輪血,輸液療法,性器感染に対する化学療法の発展などにより,手術の合併症や死亡率が低下し,子宮や卵巣に対する手術が予防的ならびに治療的におこなわれ,成果があがつており,また,手術例も遂年増加の傾向にある1〜11)。
産婦人科領域の手術では手術侵襲による内性器の機能的あるいは器質的変化による種々の後遺症があり,癒着,心因性症状,性交障害,性感異常,卵巣欠落症状などの合併症が臨床上みられる4,12,13)。これら術後病態は単に手術侵襲のみによるものではなく,子宮摘除による卵巣機能への影響14,15)──子宮・卵巣間調節機構utero-ovarianrelationship,local utero-ovarian interaction (Butcherら:196216),196917))または子宮・卵巣サイクル(東条:197418)),卵巣摘除後の卵巣機能障害あるいは多嚢胞性卵巣症候群polycystic ovarysyndrome,polycystic ovarian disease (以下PCO)に対する卵巣楔状切除後の排卵誘発19)など生殖生理学における性機能に関連し,術後の愁訴は性機能障害ないし異常に密接するものと考えられ,また,生殖障害発生機構の理論的解明ならび治療など臨床上の重要な課題を提供するものである。
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