実地臨床手技のエッセンス 感染症管理へのアドバイス
外来感染症
藤井 悳
1
Isao Fujii
1
1大阪赤十字病院産婦人科
pp.439-444
発行日 1979年6月10日
Published Date 1979/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206052
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外来で遭遇する感染症は,今日では以前におけるほど重症感はなくなりつつあるが,なおその患者数は決して少なくない。その臨床像は頑執かつ慢性で健康感を著しく障害する疾病が多い。たとえば,膀胱炎にせよ,付属器炎にせよ,前よりなおり易くなっているのは確かに抗生物質の急速な進歩に負うところが多いのであるが,一方無方針,無選択に近いその投与は1),起因菌の変遷すなわち,以前感染症の主役を占めていたグラム陽性球菌が以前は非病原菌といわれていたグラム陰性桿菌(以下GNBと略す)による感染症の増加や,多剤耐性菌の出現をもたらし,今日でも治療方針は極めて慎重を要するものである。
感染症の治療の第一歩は起因種の同定,感受性テストの施行,適合薬剤の選択と一連の操作によって治療方針を決めてゆくのが最善であるが,それには一定の時日を要し,外来診療においてすぐに治療に結びつかないところがある。一方治療を行なった後,いつをもって治癒判定をし,薬剤投与打ち切りの時点とするかは極めて難しい問題である。さらには該疾患は日常生活のきめこまかい注意や養生が疾患の軽快あるいは増悪の因子になっていることも特色と思われる。以下各臓器別に外来診断治療上注意すべき点を記述してみたい。
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