実地臨床手技のエッセンス 感染症管理へのアドバイス
産婦人科感染症の変遷と動向
岡田 弘二
1
,
金尾 昌明
1
Hiroji Okada
1
,
Masaaki Kanao
1
1京都府立医科大学産婦人科学教室
pp.423-427
発行日 1979年6月10日
Published Date 1979/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206048
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細菌感染症の起炎菌が1960年頃を境として変化がみられるようになったのは,産婦人科領域のみならず,全科的傾向であり,その特徴は,たとえば敗血症の原因菌として,かつてはStreptococcusが重視されていたのが1960年代前半ではStaphy—lococcusが最もやっかいな原因菌となり,1960年代後半よりE.coliをはじめとするグラム陰性桿菌(G.N.B.)の占める比率の増加傾向が生じ,現在に至っている。その理由は,G.N.B.に対して有効な抗生物質がまだ不十分であるということと関係している。
一方,近年,真菌症の世界的増加が指摘され,その原因として抗生物質や副腎皮質ステロイドの発達とその普及が関係あるとされている。かつて国民病とまでいわれた梅毒を初めとする性病や結核は最近見られることがまれとなってきたが,その反面,診断に困難をきたす例が生じてきた。細菌感染症の重要性が相対的に減じてくるとともに,ウィルス感染症に対して関心が高まってきた。1976〜7年に西日本を中心に大きな流行をみたRubellaにより数多くの中期中絶が余儀なくされ,vaccineの普及をうながしたし,Hb抗原の垂直感染の問題はいまや国民的関心事項となっている。
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