特集 産婦人科麻酔の問題点
産婦人科麻酔—最近の動向
藤田 達士
1
Tatsushi Fujita
1
1群馬大学医学部麻酔科
pp.201-207
発行日 1971年3月10日
Published Date 1971/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204364
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はじめに
1970年は産科婦人科の麻酔にとつて多彩な年であつた。従来永年にわたつて治験段階にあつた各種の新しい麻酔剤が市販されたからである。特に静脈麻酔剤の進歩は近年著しく,静脈麻酔の概念の変更がせまられている。これは非バルビタール系の導入静脈麻酔剤が相次いで登場したことによる。
まずpropanidid(エポントール・バイエル),ketamine(ケタラール・三共),diazepamの静脈用製剤(ホリゾン・山之内,セルシン・タケダ),に加えて鎮痛のみを目的とした非麻薬性(WHOおよび厚生省より麻薬指定を解除された)鎮痛剤pentazocine(ペンタジン・三共,ソセゴン・山之内)が登場し,従来のバルビタール系静脈麻酔剤の最大の欠点であつた鎮痛作用の欠如が補われたために,静脈麻酔のみでは手術を行ない得ないという大前提が崩れることになつた。後述するようにエポントールやケタラールにもこの鎮痛作用がある。
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