薬の臨床
卵巣癌および子宮頸部腺癌治療後の維持療法としてのNeberk使用の意義
金尾 昌明
1
,
東山 秀声
1
Masaaki Kanao
1
,
Shusei Higashiyama
1
1京都府立医科大学産婦人科学教室
pp.489-492
発行日 1979年6月10日
Published Date 1979/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206063
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卵巣癌は初診時すでに癌性腹膜炎を思わせる病像を示している例や,術中に凍結切片による病理組織検査の行なえない施設では,術後に初めて悪性であることが判明したりする例が少なくない。このように術前に正確な診断のつけ難い疾患であり,また近年,相対的にその重要性が増加してきた。アメリカ合衆国でも,煩度の最も多い女性性器癌は子宮癌であるが,死亡原因としては卵巣癌をトップにあげている。子宮頸癌の早期発見,早期治療がある程度軌道にのってきている現缶われわれ産婦人科の目標は次第に卵巣癌に移りつつある。また,子宮頸癌のほとんどは扁平上皮癌であるが,頸部腺癌は早期に転移が起こり易く,放射線に対する感受性も悪いので,再発をみる例が少なくない。筆者は,昭昭50年12月より昭和53年6月まで2年6ヵ月の間,国立舞鶴病院産婦人科医長として,京都府北部における基幹病院に勤務して,比較的多くの悪性腫瘍患者を取り扱ってきた。当院は産婦人科の常勤医2名という悪条件でありながら,他院からの紹介が多く,出身母教室である京都府立医科大学産婦人科学教室より必要に応じて応援を求めつつすべての産婦人科疾患に対して,最終病院としての役目を果たしてきた。われわれは今回,自らの経験より地方における悪性腫瘍患者の取り扱いについて,その問題点を考察し,とくに卵巣癌および子宮頸部線癌の入院治療後の外来における維持療法としてのNeberkの意義について,若干の検討を加えて報告する。
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