トピックス
Bromocriptine (CB−154)の妊娠および胎児への影響について
田部井 徹
1
1国立病院医療センター・産婦人科
pp.225
発行日 1979年3月10日
Published Date 1979/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206018
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妊娠中期の人工中絶,死産,新生児死亡の際や,時には産褥乳腺炎,乳汁分泌過多症,あるいは乳汁漏出症の患者などでは,何らかの方法で乳汁分泌を抑制する必要がある。現在,実地臨床において,産褥時の乳汁分泌抑制には主として性ステロイドホルモンが用いられている。とくにエストロゲン製剤の使用が多いが,血栓症の頻度を増加するといわれているので,十分注意して用いなければならない。
乳汁分泌の調節に関しては不明な点が多いが,下垂体から分泌するプロラクチンが主要な役割りを果たしていることは疑いない。また乳汁漏出が認められる場合には,血清プロラクチン濃度が高値であることが多い。従って,乳汁分泌を抑制するには下垂体からのプロラクチンの分泌を抑制することが効果的であろう。数年前,Ergotアルカロイド誘導体であるBromocriptine (CB−154)が,産褥時の血清プロラクチン値を低下させ,著明な乳汁分泌抑制効果を有することがVargaら1)により初めて報告された。1978年,Dewhurstら2)は,二重盲検法で,CB−154にエストロゲンより優れた乳汁分泌抑制効果があることを認めた。LさらにCB−154は産褥時における乳汁分泌抑制ばかりでなく,種々の原因による乳汁漏出をきたす疾患に対しても著明な抑制効果を示すことが明白になってきた。
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