研究へのいざない・14
組織・細胞化学研究法(その1)—Alkaline Phosphataseを中心にして
野沢 志朗
1
,
太田 博明
1
,
和泉 滋
1
Shiro Nozawa
1
1慶応義塾大学医学部産科婦人科学教室
pp.683-687
発行日 1978年9月10日
Published Date 1978/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205896
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組織または細胞の構造を明らかにし(形態学),機能を究明すること(生化学)は,医学生物学の最も基本的な研究手段の一つである。しかし一般に形態学は形態ないし構造の研究が主であり,その機能は推測によることが多く,また生化学は機能的研究が主であり,構造と直接結びつけるのは困難なことが多い。そこで組織や細胞をできるだけ破壊しないでその構造を保持したまま,可能な限りin situの状態で,直接生化学的反応を切片上で可視化して,構造と機能を直結させて観察しようとする試みがあり,これが以下に述べる"組織・細胞化学Histo-cytochemistry"である。この組織化学の中には,従来主として組織学・病理学領域で開発されてきた糖質,脂肪,色素などの染色・同定なども含まれるが,近年は電子顕微鏡の進歩により,超微形態レベルでの構造と機能の結びつきが研究されつつあり,さらに今日では,種々の酵素の局在を追求する酵素組織細胞化学,種々の蛋白の局在を証明しようとする免疫組織化学や,組織や細胞を分画に分け,分画の構造と機能を観察する方法など多方面の研究が含まれるようになってきた。
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