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羊水中のテストステロン・FSH測定による胎児性別判定の可能性
田部井 徹
1
1国立病院医療センター・産婦人科
pp.1119
発行日 1977年12月10日
Published Date 1977/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205746
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妊娠初・中期における羊水分析は,ダウン症候群をはじめとする染色体異常あるいは先天性代謝異常などの出生前診断や,Rh不適合妊娠の管理に臨床面で広く利用され,妊娠後期では胎児成熟度の判定または胎児胎盤機能検査として役立っている。血友病や進行性筋ジストロフィー症などの伴性遺伝性疾患の出生前診断は比較的困難で,多くは予後不良である。これらの疾患では胎児が男性であれば患児の出生頻度は50%であるため,出生前に羊水分析により胎児の性別を判定し,患児の出生を予防している。胎児性別の判定法としては,従来より羊水細胞の染色体分析が主として行なわれている1)。その適中率は高く,正確さの点では非常に優れているが,染色体の分析そのものの手技が複雑で時間と費用がかかり過ぎるため,最近やや簡便な螢光法2)によりY—クロマチンを検出することにより,胎児の性別を判定することが一般化された。一方,radioimmnoassayの進歩により性ステロイドやゴナドトロピンなどの測定法が開発され,羊水中のこれらホルモンの測定が可能となった。Gilesら3)は,妊婦の羊水中のテストステロン濃度を測定し,胎児が男児である場合には女児に比べて著明に高く,従って羊水中のテストステロン濃度を測定することにより胎児の性別が判定できると述べている。
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