特集 妊娠時の生理--その適応と異常
Ⅲ.適応異常とその周辺疾患
妊娠性疱疹
嶋 多門
1
Tamon Shima
1
1弘前大学医学部部皮膚科学教室
pp.1053-1056
発行日 1977年11月10日
Published Date 1977/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205735
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Ⅰ.概念
主として妊娠の後半期,全身の皮膚に小水疱,水疱,小丘疹および紅斑が集簇性に出没し,不規則な再発をくりかえす疾患である。かなり激しい掻痒があるが,全身症状は比較的軽微である。生命ならびに分娩に対する予後は良好であるが,胎児異常を起こす頻度がやや高く,胎児死亡率は20〜30%である。比較的まれな疾患であり,10,000〜50,000回の妊娠に1回の割合といわれる(von H.Flegel)。しかし,アメリカ学派の成書では,3,000〜5,000回に1回ぐらいの割合とされていて,必ずしもまれとはいえない。
本症は,1811年Bunelがはじめて報告し,1872年Miltonにより妊娠性疱疹Herpes gestationisと名づけられた。本態,病因ともに不明である。
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