今月の臨床 産科外来検診マニュアル
妊娠後期
39.過期妊娠
雨森 良彦
1
Yoshihiko Amenomori
1
1日本赤十字社医療センター産婦人科
pp.574-577
発行日 1993年5月10日
Published Date 1993/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901294
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妊娠42週を超過するものを過期妊娠(posttermPostdate, prolonged pregnancy)と呼称する。ふつうは妊娠38〜42週で分娩が発来するが,4〜10%はこの過期産となる。機序の詳細は不明である。過期産の25%は胎児の発育栄養はよく維持され,出生時児体重も3,500gを超える。しかし一方,25%は胎児の栄養は亜急性に障害されpost maturitysyndromeと呼ばれるごとくいろいろな徴候を示す:皮下脂肪欠如,頭髪は多い,うぶ毛と胎脂は欠除,指先を超える爪,皮膚の剥離,羊水混濁である。新生児室ではよく低血糖が発見される。栄養不良でglycogenの貯蓄が少なくなりがちである。この過熟症候群は予定日超過によくみられる胎盤機能低下が増悪したためで往々にして羊水過少症をともない子宮胎盤呼吸系機能が悪化して,胎内死亡,分娩中の胎児仮死を起こしやすくする。羊水吸引症候群(meeonium aspiration syn—drome)は新生児に致命的になりうるが分娩時の適切な処置で予防可能。
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