疾患の病態と治療 日常診療の再検討
抗癌剤の使い方と注意
竹内 正七
1
,
春名 宣之
1
Shoshichi Takeuchi
1
,
Nobuyuki Haruna
1
1新潟大学医学部産科婦人科学教室
pp.411-414
発行日 1977年5月10日
Published Date 1977/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205617
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手術,放射線療法につぐ第3の治療法として,癌の化学療法が試みられるようになって20有余年になる。その間新しい薬剤の開発や投与方法の工夫がなされ,臨床成績の向上がみられている。最近は,婦人科癌に対する化学療法のあり方が,一応基準化できるようになってきた。しかし現在までの制癌剤は,癌細胞に特異的に作用するものではなく,正常細胞との僅かの差を利用して効果を発揮しているに過ぎないものである。したがって化学療法を行なうに当っては,薬剤の作用機序,代謝排泄,体内分布,至適投与量,投与方法,毒性,腫瘍細胞の感受性,患者の全身状態をよく検討した上で実施すべきことはいうまでもない。本を一寸読んだ位で治療にあたるようなことは慎むべきである。化学療法を施行しているときは,絶えず,その制癌剤が有効であるか,無効であるかを判定し,無効な制癌剤を漫然と長期にわたり使用してはならない。また,有効であっても,重篤な副作用が予知される場合は,ただちに投与を中止し,その防止に努めなければならない。本稿においては,制癌剤の殺細胞様式,婦人科癌に用いられる代表的制癌剤の投与法,副作用を簡単にまとめてみた。なお著者は,婦人科癌の化学療法について,すでに何回か他誌にも報告しているので,それらを参照していただければ幸いである。
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