指標
周生期の胸腺機能についての一実験—生殖機能の発育と免疫機能成立との関係を求めて
西塚 泰章
1
Yasuaki Nishizuka
1
1愛知がんセンター研究所病理学第二部(実験病理)
pp.189-195
発行日 1977年3月10日
Published Date 1977/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205576
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Ⅰ.一つの作業仮説の提示
ここで述べる周生期とは
動物の種類によって妊娠期間には相当大きな開きがある。すなわち,個体発生的な意味からみても種々の動物の胎仔は似た発育段階で出生期をむかえるとはいえない。これと関連して周生期ないし周産期とよばれる時期は,動物によって生物学的意味にも違いがあることは当然である。したがってヒトの周産期の諸問題,特に臨床的な重要課題の解析に実験動物の周生期の所見を直ちに応用することはかなり困難であろう。こうした点から周生期学とよばれる分野が実験医学の領域で確立しているかどうか私にはわからない。ここではこの議論に深く立ちいる必要はなかろう。以下に述べることから了解されると思うが,私は周生期を「動物の出生前後の時期を中心とした発生の後期で,独立した生存能力を個体が獲得しつつある時期」と簡単にいいかえて"周生期"という言葉を用いているにすきない。
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