症例
子宮内膜症における組織のホルモン感応性について—組織発生部位ならびに組織形態との関係
湯川 澄江
1
,
高田 道夫
1
,
古谷 博
1
,
桑原 紀之
2
,
福田 芳郎
2
Sumie Yukawa
1
,
Kuwabara Noriyuki
2
1順天堂大学医学部産婦人科学教室
2順天堂大学医学部病理学教室
pp.1049-1056
発行日 1976年12月10日
Published Date 1976/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205540
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子宮内膜症においては,その主要病変の発生部位によって臨床病態が異なり,ことに妊孕能に及ぼす障害の程度に差異を生じることは明らかで,開腹時所見および病理学的追求とretrospectiveな臨床像との対比成績がそれを示している。したがって子宮内膜症を一つのカテゴリーに一括してとり扱うことには無理があり,強いていえば不合理性がある。高田らは,1960年以来の教室における臨床統計,治療成績などの追求にあたって,子宮内膜症をNovakの提唱したadenomyosisとpelvic endo—metriosisとに分類して検索し,その成績を報告してきた。
子宮内膜症の症状は多彩であり,なかんずく不妊症と関係が密接であるので,しばしば妊孕能の回復を目的とした治療が要求される。そのために保存的手術あるいはホルモン療法が行なわれるが,その個別治療が劇的な効果をあげることもあれば,全く期待を裏切られる場合もある。高田らは,このような子宮内膜症の保存療法を続けてきて,対症療法としての効果は別として,本質的な効果は先に述べたadenomyosisとpelvic endometriosisとの差異にあるのではないかと感じてきた。
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