原著
外妊時に於ける子宮内膜組織像
並木 岡一
1
1東北大学医学部病理学教室
pp.396-402
発行日 1955年3月10日
Published Date 1955/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201160
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今日では子宮外妊娠(以下外妊と略称す)に於ても,子宮腔内妊娠と同様に内膜の脱落膜(以下Dと略称)性変化を来すと言う事は衆知の事実であるが,病理学教室に居る私共が臨床家から送付された内膜掻爬片を検鏡した場合に,外妊でありながら色々の組織像が見られ必ずしもDを認めるとは限らず,又一方妊娠でないにも拘らずD様変化を見出す時もある。後者は諸家の経験する所であろうと思う。
外妊時の子宮内膜に就いては1914年Sampson1)が25例の組織学的所見を発表して以来,欧米では幾多の報告があるも本邦に於ては殆んど之を見ない。此の事実は,我国では一般に外妊の診断に内膜の組織所見を参照すると言う様な事が行われない為と思われるが,欧米では必ずしもそうとは限らず,臨床所見と併用すれば可成の診断的価値があるとさえ言われて居る2)5)。
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