特集 産婦人科内分泌異常症候群
Ⅳ.症候群鑑別診断法
性機能分化の異常を伴う症候群
水口 弘司
1
1東京大学医学部産科婦人科学教室
pp.975-981
発行日 1976年11月10日
Published Date 1976/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205526
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
性機能分化の異常を伴う症候群には多数の疾患があり,その臨床症状も多岐であるため,これらの疾患を系統的に分類することは難しい。細胞遺伝学,臨床内分泌学などの進歩によりこれら疾患の原因について多くの新知見が得られているが,同一の臨床症状が異なった原因からおこり,またその逆に,一つの原因から程度の異なる種々の性分化異常をおこすことなどで,さらに疾患の分類を複雑にしている。臨床的な便宜上,表1のごとく分類する。性腺分化の異常では多くの場合に染色体の異常を伴い,この中には卵巣,睾丸の両組織を共有する真性半陰陽(true hermaphrodite)も含まれる。一方,男性半陰陽(male pseudohe—rmaphrodite)では性腺は睾丸であるが,外性器または内性器に女性化が認められ,また女性半陰陽(female pseudohermaphrodite)では性腺は卵巣であるが,性器発育に男性化が認められ,多くは性染色体は正常であり,ホルモン作用の異常によるものが大部分である。性分化の異常を伴う症候群の主なものについてこの分類に従い,その臨床症状,診断について述べる。
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.