臨床メモ
産褥乳腺炎と授乳
竹内 久彌
1
1順天堂大学産婦人科
pp.859
発行日 1976年11月10日
Published Date 1976/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205498
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授乳中に起こった乳腺炎に対する処置として,授乳を中止させるべきか否かの判断はそれほど簡単ではない。一般に成書には局所の安静と抗生物質の投与が膿瘍形成の予防になると記されているが,必ずしも授乳を中止させなくても良いとする意見もある。
Marshallら(J.A.M.A.,233,1975)は,CaliforniaのKaiser—Permanente Medical Centerで1973年8月までの2年2ヵ月間に取りあつかわれた産褥乳腺炎についての調査から次のような結果を得ている。すなわち,総分娩数5,155のうち母乳哺育を確立した者は2,534名であったが,それらのうちから65例の急性産褥乳腺炎が散発的に起こっていた。ここでの乳腺炎とは乳腺部の局所的発赤・疼痛と発熱(口内温で38℃以上)を伴ったものをいう。その原因として9例が哺乳停止による乳汁欝滞からであり,8例に乳頭亀裂があった以外は不明である。
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