特集 異常分娩,産褥の診断
前早期破水の診断
兼子 和彦
1
Kazuhiko Kaneko
1
1葛飾赤十字産院
pp.691-695
発行日 1970年8月10日
Published Date 1970/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204255
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破水は通常分娩第Ⅰ期の終り,すなわち子宮口全開大周辺においてみとめられるが,この時期以前の破水については陣痛発来前のものを前期破水,分娩第I期で子宮口開大が5cm径以下におけるものを早期破水と名付けている。
破水時の羊水性状はその時期を問わず,胎児の子宮内環境の一指標として重要であるが,なかでも早期における破水は分娩機転の円滑な進行をさまたげ,分娩遷延,子宮内感染,胎児切迫仮死,胎児感染などの障害を招く可能性をもち,卵膜異常,胎児位置異常,児頭骨盤不適合などの早期の破水原因とともに,分娩周辺環境因子として児の予後に深く関係する。従つて分娩管理の上で異常分娩徴候の一つとして早期の破水症状の把握は重要であり,とくに前期破水についてはその確診が要求される。
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