臨床メモ
流早産予防と黄体ホルモン
竹内 久弥
1
1順天堂大学産婦人科
pp.488
発行日 1976年6月10日
Published Date 1976/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205435
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黄体ホルモンの妊娠初期投与による奇形発生の可能性が,最近の関心事であることはいうまでもなく,この欄(29巻11号)でもその一部の報告を紹介した。しかし,流早産の予防に黄体ホルモン投与が有効であることについての報告も数多い。今回はその方面での最近の報告を一編紹介する。
ジョンス・ホプキンス大学産婦人科のJohnsonら(New England J.Med.293,675,1975)は妊娠中期以降の流早産予防のための17α—Hydroxyprogesterone caproate (市販製剤名としてはオオホルミンルテウムデポー,プロルトンデポー,プロゲニンデポーなど)の効果をみるための二重盲検法による検討を行なつた。17αOHP-C 250 mgまたは同量のプラセボを毎週1回筋注を分娩時まで継続する方法がとられた。対象となった43例のhigh risk妊娠例中7例には頸管縫縮術が施行されていた。頸管縫縮術を施行されなかった36例中14例は17αOHP-Cが投与され,すべて36週以降に分娩となり,プラセボ投与群22例ではそのうちの9例が36週以前に分娩となつた。7例の頸管縫縮術例では,4例が17αOHP-Cの投与をうけ,すべて36週以降に分娩となり,プラセボ群の3例はそれぞれ32,35,36週で分娩となつた。
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