特集 産婦人科手術のポイント
VII.手術手技--境界領域
膀胱の手術
佐藤 昭太郎
1
1新潟大泌尿器科
pp.1052-1053
発行日 1975年12月10日
Published Date 1975/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205335
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膀胱の切開と縫合
膀胱の切開は,普通前面で腹膜外的に行なわれるが,止むを得なければ腹膜内で開くことも可能である。カテーテルから空気または滅菌生食水を送入して膀胱を膨らませ,見当をつけながら,膀胱壁に2本の支持糸を掛け,その間を切開する。切開後改めて支持糸を全層に掛けなおしておくと,縫合の際に便利である。縦切開か,横切開かにあまりこだわる必要はない。次に行なわれる手術操作に応じて最適の切開線をとればよい。
縫合には尿管と同様吸収可能な縫合材料が用いられる。膀胱は尿の通路であるとともに貯留器官でもあるため,尿漏れを防ぐため2層縫合が原則である。0ないし000の腸線(plain catgutまたはchromic catgut)もしくは00ないし0000のpolygly—colic acid糸(PGA糸, dexon糸)の全層縫合についで,もう1層の外層縫合を加える。術後は常に留置カテーテルを置いて膀胱内に尿が貯留しないようにする。このためしばしば持続吸引が用いられる。別に膀胱外に尿漏れに対処するドレーンを挿入しておくことを忘れてはならない。産婦人科手術中に膀胱が開かれた場合にも同様の処置をすれば,特に支障を生ずることはない。
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