特集 産婦人科手術のポイント
III.麻酔と輸液・輸血
輸液法の選び方
中條 俊夫
1
,
阿曾 弘一
1
1北里大学外科
pp.908-909
発行日 1975年12月10日
Published Date 1975/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205270
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細胞は内環境の細胞間液によつて養われ,その変化によつて活動性が変つてくる。よい内環境を作る一つの手段が輸液である。したがつていかに正常の細胞外液に整えていくかを考えていけば,輸液の大筋の方針は決つてゆく。それは単に水分,ナトリウム,クロールだけについてではなく,酸塩基代謝,熱量補給,細胞内電解質,膠質浸透圧についても,さらに欲をいえばアミノ酸組成,微量塩類,ビタミンその他の点においても,正常に近い細胞外液とする輸液であり,あとは呼吸および排泄の機構を整えれば細胞が生存できるようなものが望ましい輸液である。
しかし,臨床で実際に扱う輸液はもつと単純に考え,組み立ててゆくことができる。輸液をいくつかの目的に分解してみると,deficit therapyっまり治療開始時に欠乏しているものに対する修復輸液,abnormal loss therapyつまり出血や消化液などの異常喪失に対する補正輸液,maintenancetherapyつまり前2者を補正したあとに正常体液状態を保つための維持輸液の3者に分類できよう。実際の輸液を行なうには,この3者を合わせることでよい。
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