特集 産婦人科手術のポイント
III.麻酔と輸液・輸血
麻酔時偶発症の救急処置
岩井 誠三
1
1神戸大麻酔科
pp.906-907
発行日 1975年12月10日
Published Date 1975/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205269
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麻酔偶発症とよばれるものには麻酔方法,麻酔剤などによつて種々のものが発生しうるがもつとも重大なものは死亡である。麻酔に関する一般的知識が普及した現在では麻酔による直接死亡は著しく減少して安全性は向上したといえる。しかし,一方では安全性がたかまつたためにかえつて安易にこれを行ない,思わぬ偶発症に遭遇することも決して少なくない。麻酔剤に対する反応性は個々の症例により異なることがあり,とくに対象となる個体に併存疾患の存在する場合には通常と異なる変化をあらわすことは当然で,手術術式によつて画一的な方法を行なうことは決して安全とはいえず,患者の全身状態に見合つたもつとも安全な方法を選ぶことが麻酔選択の基本である。しかし,現状においてはすべての麻酔偶発症を予測することは困難であり,それぞれの麻酔時に発生しうる偶発症のうち重大な結果を招く可能性のあるものにつき,その対策を述べる。
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