Japanese
English
特集 偶發症との救急處置
脊麻偶発症とその処置
The complication of the spinal anesthesia and its treatment
北原 哲夫
1
,
三浦 成元
1
Tetsuo KITAHARA
1
1東京逓信病院外科
1The Department of Surgery, Tokyo Teishin Hospital
pp.735-741
発行日 1955年11月20日
Published Date 1955/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201697
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緒 言
全身麻酔法はわが国においても戦後急激に普及しては来たものゝ,腹部以下の手術に対する脊麻の価値は依然高く評価されている.患者に対する精神庇護の問題も適当な前薬剤投与によつて解決し得るし,極めて簡単な手技により確実な無痛のみならず,充分な筋弛緩が得られて手術がやりよい点は容易に他の麻酔法の追随を許さず,しかも経済問題もわが国情よりすれば軽視し得ぬところであろう.本法が広く随所で,特に実地開業医家に好んで用いられるゆえんである.われわれは放射性ヨードを混合注入して各種脊麻剤の髄液腔内における拡がりを仔細に調査した結果,確実な効かせ方についてはすでに結論を得て報告した(手術8巻8号,日外会誌55回5号)が,本法実施に当つての最大の懸念たる術中の血圧下降,呼吸障害の本態に関しては古くから副腎遮断説,交感神経遮断説,呼吸抑制説,延髄中枢障害説等多くの説がある.われわれはこの問題につき種々の面から検討を加えた結果,結局特に目新らしいことではないが交感神経麻痺に重きをおかなくてはならないことが判つた.よつてさらにこれに基づく合理的対策についても言及したいと思う.
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