小特集 産科感染症について
感染による胎盤の病変
渡辺 行正
1
Yukimasa Watanabe
1
1慈恵医科大学産婦人科学教室
pp.625-628
発行日 1975年8月10日
Published Date 1975/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205219
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今回のシンポジウムに大内広子教授より感染による胎盤の病変という課題をいただいたが,周知のごとく従来の産科学における感染の概念はいわゆる産褥感染に代表されてきたもので,わずかに梅毒が子宮内(胎内)感染の代表疾患として取り挙げられてきたに過ぎず,今日の感染と胎盤,経胎盤感染,胎芽病,胎児病という広い概念に対する研究は現在漸くその端緒についたものといえる。したがつて感染による胎盤の病変といつてもその多くは今なお追究段階にあるものでその詳細を述べることは到底困難である。とくにわが国においてはこの方面の研究者が少なく胎盤の病変を主眼とした感染症の研究報告は梅毒を除いてはほとんどみられていない。
しかし周産期医学,さらに胎児医学と産科学の進展に伴いFoctopathie,Embryopathieが一つの重要な部門となりつつある現在,これら疾患の発生にきわめて密接な関連性をもつ胎盤ならびにその病変につき考えることは大いに意義のあることと思われるので,今回は感染と胎盤につき概念的に述べることとする。
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