臨床メモ
手術室勤務と流産
竹内 久弥
1
1順天堂大学産婦人科
pp.529
発行日 1975年7月10日
Published Date 1975/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205203
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手術室勤務の女医や看護婦とその妊娠早期異常については,とくに麻酔ガス吸人の面から関心が持たれている。これに関する報告はジャーナリスティックなものを含めて,これまで数多くなされているが,ここでは最近の論文2編を紹介する。
Rosenberg and Kirves (ActaAnaesth. Scandinav. Suppl.53, 37,1974)はフィンランドの大病院勤務の看護婦を対象にアンケート調査をした結果を麻酔看護婦,手洗い看護婦,救急部看護婦,ICU看護婦の4群にわけて考察した。麻酔およびICU看護婦に月経不順が多い。勤務中の自然流産率は手洗い,ICU,麻酔の看護婦に高く,救急部看護婦に低い。これを手術室勤務(麻酔+手洗い)と非手術室勤務(救急部+ICU)にわけると,自然流産率はそれそれ19.5%,11.5%となり,有意に手術室勤務が高いという結果であつた。流産時期では手洗い看護婦がもつとも早期で,救急部看護婦がもつとも遅い。X線被曝とハロセンガス吸入の頻度は麻酔看護婦に高く,分娩した児の体重は麻酔看護婦群がもつとも小さいが,児の異常については特別な差はなかつた。結局,Rosenbergらは勤務中のストレスを手術場勤務看護婦における高い自然流産率の原因と見ている。
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