症例
典型的なDICを合併した常位胎盤早期剥離の1例
樋口 正臣
1
,
高石 光二
1
,
竹内 正七
1
Masaomi Higuchi
1
1新潟大学医学部産科婦人科学教室
pp.485-490
発行日 1975年6月10日
Published Date 1975/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205196
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血液は生理的な状態においては血管内において血液凝固系に認め得る活性化は起こらない。しかし悪性腫瘍や感染らの種々の病態において,体中の広汎な血管壁の障害がおこり,また凝固系の活性化が生じ,各臓器の末梢血管内に広汎に血栓ができて,各種の凝固因子が消費されるために,流血中の各凝固因子量が減少し,著明な出血傾向を示すことがある。これを各種の凝固因子が消費されるため生ずるという意味で,消費性凝固障害(Consumption Coagulopathy)と呼ばれ,また脳血栓などのように単発でなく,汎発性に生ずる微小血栓による病態という意味で,播種性血管内凝固1)(DisseminatedIntravascular Coagulation以下DICと略す)と呼ばれている。われわれは常位胎盤早期剥離に典型的なDICを合併し,比較的詳細な臨床成績を得ることができ,治療により治癒しえた1例を経験したので報告する。
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