症例
反復卵管妊娠後の妊娠例—persistent ectopic pregnancyにおけるMTX療法の有効性
岩政 仁
1
,
本田 賀裕
1
,
松浦 講平
1
,
柴田 三郎
1
,
田中 信幸
1
,
藤崎 俊一
1
,
岡村 均
1
,
前山 昌男
2
Jin Iwamasa
1
,
Masao Maeyama
2
1熊本大学医学部産婦人科学教室
2大阪逓信病院産婦人科
pp.199-202
発行日 1987年3月10日
Published Date 1987/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207561
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卵管妊娠に対して妊孕性温存を目的とする保存的手術療法が普及してきている。しかし手術後妊娠産物の残存によりhCGの低下が遷延する病態がpersistent ectopicpregnancyとして報告されてきている。
29歳,反復卵管妊娠の未産婦に対して,患側卵管部分切除,端々吻合手術を行った。術後尿中hCGが400IU/l値以下に低下しないため,術後12日目よりMTX20mg/日を5日間投与を2コース行った。32日目に25IU/lに低下し,子宮卵管造影にても患側卵管の通過性が確認された。本症例は術後9ヵ月に正常子宮内妊娠が確認され,現在順調に経過している。
今回の症例では,既住に片側附属器の摘出があり,今回の卵管妊娠が中絶前であったことより,保存的手術療法を行い,術後のhCG値の低下遷延に対し早期よりMTXを投与し残存卵管の再摘出を回避し得た。保存手術後のpersistent ectopic pregnancyの病態の認識とMTXの有効性を強調したい。
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