連載 Medical Scope
子宮雑音
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.111
発行日 1975年2月25日
Published Date 1975/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204819
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妊娠中に胎児心音をきくこと,これは胎児が正常に発育していることを示す手段として,私たちも助産婦諸君も毎日行なっていることです。今日では,超音波ドップラー法が開発され,産科外来に,分娩室にそなえつけられ,管理者自身が胎児心音をたしかめるのみならず,その心音を妊産婦自身にもきかせ,安心させたり,元気づけたりしているのです。今月は,この超音波ドップラー法のひとつ以前の方法,つまり,トラウベ時代にさか上った話題をひろってみました。
トラウベの聴診器で胎児心音をきくために妊婦の腹壁にそれをあてると,胎児心音以外にきこえてくるものもあります。つまり,大動脈音,胎動音,子宮雑音,臍帯雑音,腸雑音があります。そして,子宮雑音は,子宮動脈の中を血液が流れる音としてきこえますので,母体の脈拍とほぼ同時か少しおくれて,ザーッ,ザーッという音になって表現されます。これに対して臍帯雑音は同じザーッという音でも,胎児心拍と一緒ですので子宮雑音より数が多いので2者は容易に区別することができるのです。
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