薬の臨床
経腟投与による抗原虫物質の体内移行
青河 寛次
1
,
山路 邦彦
2
,
杉山 陽子
2
Kanji Seiga
1
,
Kunihiko Yamaji
2
,
Yoko Sugiyama
2
1社会保険神戸中央病院産婦人科
2近畿母児感染症センター
pp.559-561
発行日 1974年8月10日
Published Date 1974/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205066
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抗原虫物質は,通常,経腟投与されることが多く,Nitroimidazole系物質出現1)まではTrichomonas vagi—nalis感染に対する唯一の確実な治療経路であつた。そして,抗原虫物質の全身投与による有効性が確立された今日でも,この局所投与はそれ自身特有な臨床意義を有している2〜6)ので,全身・経腟併用療法がroutine workとして賞用されている5,6)。
経腔投伊の本症における特徴は, 1)Tricllomonas vaginalis感染の主病巣が}1室・頸管にあるため,局所投与により直接病巣内で高濃度の抗菌作用を期待できること, 2)経1控投ケにより自・他覚所見が急速に改論され,また,局所・全身併用療注ξにより良好な遠隔成績をうること, 3)局所刺激性などの副作用がほとんど無く,また,全身投与のように感染と無関係な臓器への薬剤移行を考慮する必要がなく,ことに胃腸症状発生の危慎がないこと,などの利点が挙げられる。しかし,その半面, 4)血高’1正達効果により自・他覚症状が急速に改善されるため,治療不卜分なまま患者が治癒したと誤認して巾断する怖れがあること, 5)経腔投ケのため,処女には用い難い場合があること, などは欠点といえる。
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