特集 分娩管理
こんな時どう対処するか
分娩前後の異常出血とその処置
西田 悦郎
1
,
赤祖父 一知
1
Etsuro Nishida
1
,
Kazutomo Akasofu
1
1金沢大学医学部産科婦人科学教室
pp.125-129
発行日 1974年2月10日
Published Date 1974/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204998
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わが国の産婦死亡率は欧米の2〜3倍,産婦の出血死は欧米の5〜10倍の多数にのぼるとされている。この彼我の差をちぢめることはできないのだろうか。今日のわが国の産科学における止血法,輸液の種類・技術,薬剤などの客観状況が欧米に比して5倍も10倍もちがうほど劣ることは絶対にない。
その差は,早目に予防的処置を開始して,安全性を高めようとするか否かの考え方の差にあるように思われる。産科出血の場合,その予後を科学的に判定する的確な方法はない。にもかかわらずわが国ではとかく,安全性を多少犠牲にしても,最小の処置で最大の効果をねらおうとする傾向がなお強すぎるように思われる。この傾向は危険である。そのため患者は出血ショックや脱血死の臨界点近くまで追いやられることになる。
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