薬の臨床
妊娠初期管理におけるAllylestrenolの効果
蜂屋 祥一
1
,
桃井 俊美
1
,
細田 肇
1
,
徳倉 昭治
1
Shoichi Hachiya
1
1東京慈恵会医科大学産婦人科学教室
pp.781-785
発行日 1973年9月10日
Published Date 1973/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204882
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不妊症患者に種々の検査治療を行ない,ようやく妊娠成立に成功したあと,われわれがしばしば遭遇する不愉快事は,自然流産である。流産の原因には,器質的にも機能的にも多くの因子があり,おのおのの症例についてその原因が明確に判定できることはむしろ少く,そのまま放置され,次回妊娠を期待するケースが実際には多い。したがつて治療においても,安静・止血剤・黄体ホルモン剤・子宮筋弛緩剤などについても明確な投与基準や適応の判定方法も不明なまま,一律的に施行されていることが多いように思われる。
従来,切迫流産の定義には,性器出血や下腹痛が重視されてきた。われわれは,以前より,あらゆる種類の子宮出血について,病理組織学的方法を中心とした検索を行なつてきているが,器質的疾患は別として,月経・機能性出前・流産など内分泌環境と密接な関係にある子宮出血では,内分泌動態と出血の発現および子宮内組織との間に一定の関係があることに注目してきた。
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