カラーグラフ 臨床家のための病理学・17
子宮疾患・Ⅷ
滝 一郎
1
1九州大学医学部産婦人科
pp.546-547
発行日 1973年7月10日
Published Date 1973/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204843
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子宮の疾患のうちで最も頻繁に臨床家の対象となるのは子宮筋腫であろう。30歳以上の婦人の20%は子宮筋腫を有しているといわれ,始めは子宮筋層内に小さい筋腫結節として多発することが多いのであるが,発育増大すると,その数,位置,発育の方向によつて,子宮の大いさ,形,硬さにきわめて多様な変化をあたえる。また不正性器出血,過多月経,過長月経,不妊症,流・早産,異常分娩,子宮復古不全などさまざまな障害の因となる。筋腫の診断は一般に容易な部類に属するとはいえ,子宮腺筋症,子宮内膜増殖症,子宮内膜癌などと合併する場合,また妊娠と合併する場合などは,筋腫が最もポピュラーな疾病である故に誤診を招くことも皆無ではない。
筋腫の形態学は顕微鏡的なものより,むしろ,肉眼的なものの方が興味を引き,病理組織学的な所見の方は忘れられ勝ちであるので復習をしてみようと考える。
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