薬の臨床
制癌剤PC-B−45に関する研究(第3報)—PC-B−45による治療により特異な経過をたどつた女性性器癌の2例
舘野 政也
1
,
大志摩 敦朗
1
,
舌野 徹
1
,
杉田 直道
1
Masaya Tateno
1
1富山県立中央病院産婦人科
pp.451-458
発行日 1973年5月10日
Published Date 1973/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204831
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緒論
子宮頸癌や卵巣癌の治療に当つては,その進行期によつて治療法が異ることは申すまでもない。しかし,高度の進行期癌で癌性腹膜炎あるいは,癌性胸膜炎を併発している場合には,もはや,局所の疾患ではなく,全身性疾患のために,その治療はもちろんのこと手術療法や放射線療法の対象とはならず,やむをえず,制癌剤をその治療の主役として選ばざるを得ない現状である。最近制癌剤の進歩もめさましいものがあるが,しかし未だ根治療法としてとりあげるにはほど遠い感がある。今回,われわれは卵巣癌から癌性胸膜炎,腹膜炎に進行し,治療に困難を感じたが,PC-B−45の使用により一時的ではあるが軽快をみた2例を経験したので,その臨床経過について検討を加えてみたいと思う。
なお,本剤の使用は今回が初めてではなく,すでに本剤の製剤学的賢項ならびにその臨床効果について,第1報本誌2)および第2報産婦人科の世界3)に発表している。
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