薬の臨床
妊婦の神経痛様疼痛(腰痛)に対するV.EおよびV.B1,V.B6,V.B12合剤の併用効果
舘野 政也
1,2
,
金城 国弘
1,2
,
矢吹 朗彦
1,2
,
丸山 裕史
1,2
Masaya Tateno
1,2
1金沢大学医学部産婦人科教室
2富山県立中央病院産婦人科
pp.1031-1033
発行日 1966年12月10日
Published Date 1966/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203618
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
V.E (Tocopherol)の生理作用として甲状腺機能亢進作用,したがつて全身代謝の促進が認められており,また,赤須,舘野1)は甲状腺機能をcontrolする作用があることを認めており,妊婦へのV.Eの使用は合理的であると考えた。一方,Vitamedinは神経系に必要なエネルギー産生と神経組織の保護に密接な関連をもつことが知られてをり,これらの作用の面から,我々は両剤の併用が何より大きな効果を産むのではないかと考えて実験をすすめた。
妊娠が進むにつれて,種々の身体的,精神的異和感が増強することは周知のごとくである。なかでも,悪阻は妊娠初期に終るが,他の症状,たとえば腰痛,下肢の坐骨神経痛様疼痛,四肢のシビレ感,静脈瘤などは妊娠月数が進むにつれて激しくなり,これの治療には困難さを感じさせられる。特に妊婦の薬剤の使用に当つてはその胎児に及ぼす影響を考えた場合は自ら制限される。しかし,Juvela, Vitamedinの併用では,このような心配はないものと思われる。このさい,従来から使用されているThiamine系薬剤は必ずしもその効果を十分期待することはできなかつたようである。今回,我々は妊婦の各種疼痛に対して,Vita—medin (V.B1,V.B6,V.B12の合剤)とJuvela (V.E)を併用することによつて従来の治療法に比し,一段と満足すべき成績を得たと信ずるので以下その大要を記述する。
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.