臨床メモ
妊婦の喫煙
竹内 久弥
1
1順天堂大学産婦人科
pp.336
発行日 1973年4月10日
Published Date 1973/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204813
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妊婦の喫煙が胎児に与える影響については,1957年W.J.Simpsonが未熟児の出生率の高いことを報告して以来,これに関する検討が数多くなされている。その結果,喫煙により低出生体重児の発生頻度が高くなり,周産期死亡率が上昇することが認識されつつあるが,これに対する反論もないではない。たとえば,喫煙妊婦から生れる児にそのような傾向が見られることは事実であるにしても,それは喫煙が原因なのではなく,喫煙を常習とするような社会的,経済的,栄養的,肉体的な因子が原因となつているものであるとする意見などもそれである。今後もなお,この問題は検討され,論議されていくと思われるが,今回は最近の報告としてN.R.Butlerら(Brit.Med.J.2,127,1972)の検討結果を紹介する。
この報告の材料は,英国における1958年3月3日から9日までの1週間の16,994例の単胎分娩と,3月以降の3ヵ月間に起こつた約7,000例の周産期死亡である。調査は助産婦が分娩時に1日の喫煙量を,今回妊娠する12ヵ月前と妊娠中とについて産婦に質問する形で行なわれた。
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