カラーグラフ 臨床家のための病理学・14
子宮疾患・Ⅴ
滝 一郎
1
1九州大学医学部産婦人科
pp.182-183
発行日 1973年3月10日
Published Date 1973/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204786
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今回供覧する上皮変化は,子宮頸部外方で頸管腺の存在しない部に認められたものである。扁平上皮領域に生じたものと考えられるのであるが,これに対しては疑問がある。すなわち,子宮頸部の円柱上皮領域と扁平上皮領域とを区分するには,最尾方に存在する頸管腺の位置が一応の規準線となるものの,その位置よりもつと尾方部まで円柱上皮がおおつていることもある。またその位置より頭方にまで扁平上皮を認めた場合,その扁平上皮が円柱上皮の化生によつて生じたものであると必ずしもいい難いことがある。既存の扁平上皮と円柱上皮の化生によつてできた扁平上皮が接続して形態学的に区別のつかないことがあるからである。この疑問を解決するのは困難であるが,扁平上皮は円柱上皮と多少異なつた増殖の仕方をすることは確かである。そのひとつとして,基底部の未熟な細胞が増殖し,間質内に突起をなして入り込んで行くことがある。
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