カラーグラフ 臨床家のための病理学・19
子宮疾患・Ⅹ
滝 一郎
1
1九州大学医学部産婦人科
pp.710-711
発行日 1973年9月10日
Published Date 1973/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204869
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子宮内膜増殖症,endometrial hyperplasiaは,エストロゲン持続投与,内因性エストロゲンの持続刺激を招く内分泌変調下(多嚢胞卵巣症候群,エストロゲン産生性卵巣腫瘍,初経前後,閉経前後など)に好発すること,また同様な内分泌変調下に好発する子宮内膜癌の発生と密接な関係があることが知られている。わが国においては,両疾患とも発生頻度が低いので,臨床的な関心も強くない。しかし,長期のホルモン投与を行なう時には,かならず考慮に入れるのが常識で,実際には,子宮内膜の細細診と組織診を行なえば済むことである。
内膜増殖症は,嚢胞性増殖(cystic hyperplasia)と腺腫様増殖(adenomatous hyper—plasia)に分類される。両者は混在することが多い。前者では腺の内腔が拡大し,Swisscheese patternをとる。後者では腺が密集し,間質に乏しい。
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