特集 産婦人科の治療その限界と展望
日常臨床上よくぶつかる頑症疾患の治療の限界
産科
妊娠中毒後遺症
我妻 堯
1
Takashi Wagatsuma
1
1東京大学医学部産科婦人科学教室
pp.1070-1073
発行日 1972年12月10日
Published Date 1972/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204716
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後遺症の定義
妊娠中毒症の妊婦が分娩を終了した後も,蛋白尿,高血圧などの症状が遺残している状態を一般に後遺症とよんでいる。症状の程度や持続期間は個人差が著しいから,診察,検査がおこなわれた時期によつて後遺症の定義にも影響することになる。1962年に,日本産科婦人科学会,妊娠中毒症委員会が,「分娩後1ヵ月以上にわたつて高血圧,蛋白尿,浮腫などの症状を遺したものを後遺症とよぶ」と定義しているので,ここでもその定義にしたがつて述べることにする。なお浮腫が後遺症としてのこることは極めてまれであるからここでは省略する。
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