研究
晩期妊娠中毒症後遺症—数年間にわたる観察
古賀 千鶴子
1
,
浦山 彰子
1
,
大地 三千代
1
1九大助産婦学校
pp.34-37
発行日 1968年2月1日
Published Date 1968/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203520
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Iまえがき
分娩とともに急速に消退して,あとかたもなくなおってしまうのが妊娠中毒症と考えられた時代もあったが,近年婦人の高血圧症,その他の血管障害と妊娠中毒症との相関関係が重要視され,妊娠中毒症後遺症として論ぜられ,妊娠中の定期的な管理と指導および産後の十分な管理,すなわち産後検診の重要性が一般にも認識されつつある.その重要性は,単に母体の健康の保持増進のみでなく,つぎの世代の子孫の強化という面からもゆるがせにできない大きな問題であり,究極的には,国民全体の福祉と保健の基本問題といっても過言ではあるまい.
では一体この妊娠中毒症後遺症とは,どのような割合で遺存するのであろうか.ここに私たちは,当産科における過去3年間の晩期妊娠中毒症が,入院時から退院時,産後1カ月の検診およびその後の検診において,どのような形で後遺症として遺存してゆくものかを調査してみて,妊娠中の定期的な管理と指導および産後検診の重要性を再認識させられたので報告します.
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.