今月の臨床 妊娠と免疫
妊娠維持と免疫
9.絨毛細胞とHLA抗原
山下 幸紀
1
Kohki Yamashita
1
1国立札幌病院産婦人科
pp.166-167
発行日 1992年2月10日
Published Date 1992/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900734
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妊娠現象において,母児間の解剖学的接点に存在する胎盤,なかんずく絨毛細胞(trophoblast)は,遺伝的には胎児由来の組織であり,移植免疫学的立場からみると,母体にとっては胎児と同様,同種移植片(Allograft)と見做しうる。しかし,直接母体側組織あるいは細胞と接するため,妊娠の成立,維持,換言すれば拒絶の惹起されない理由の解明には,このtrophoblastを中心とする局所免疫機構の解析が重要なポイントとなる。このような観点からtrophoblastをみると,最も基本的に解明されなければならない点は,その細胞表面における主要組織適合抗原(ヒトの場合HLA抗原)の有無を知ることであると理解される。
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