救急処置
子宮外妊娠の救急処置—麻酔科の立場から
鈴木 太
1
Hajime Suzuki
1
1日本大学麻酔科
pp.665-673
発行日 1971年7月10日
Published Date 1971/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204443
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緒言
子宮外妊娠の救急処置を麻酔科医の立場から考えれば,一口に言つて急性出血に対する全身管理ということになる。そして疾患の性質上究極的には手術的な処置が根本的な治療の目的であるから,麻酔科医としては出血により悪化した全身状態をいかにして改善させ,あわせて麻酔と手術をいかにして安全に経過させるかという問題が主題となる。
子宮外妊娠といえどもすべての例が大出血を伴つているわけではない。われわれが最近取り扱つた57例の本症患者をみても,35例,61.4%は麻酔前から全身状態が良好でなんら特別な救急処置を必要とせずに麻酔や手術を終了している。問題は残りの22例(38.6%)で,これらは大なり小なり出血に基づく全身的な循環障害の徴候を示していた例であり,この中でも9例(15.8%)は来院時すでに著明なショック症状を呈していたものである。
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